スケートと浪速のエンターテイナーとスケート

大好きなフィギュアスケートとその競技界で奮闘する友野一希選手について語ります

史上最高のシネパラの話(その①)

全日本遠征から帰って年末年始に地味に書き留めていた内容です。出すタイミングを窺ってるうちに(毎度このパターン)波瀾万丈のシーズン終了。

このまま封印のつもりでいましたが、SOI大阪公演を現地観賞したところで、ふり返りたくなりました。

当時の所見と感情なのでいま読むと随分と思い詰めてる部分もありますが。以下そのまま投下します。


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全日本を終えて1週間経ってしまった

いつの間にか年も明けている

だがわたしは未だたまありの夢のなかにいる心地である


五月雨的に吐き出す以外に他人にまつわる話をまとまった文面で記載するのは自分には難しい

書きたいことが自分でも引くほどの気持ち悪い量になりパンクしてロステレもそれで出せないままになってしまった

今回は恵まれたことに全日本期間中2日目からMOIまで一時帰宅することなく現地滞在できたのでその間こまめに更新しようとも考えたが、根がtwitter暮らしなので無理だった

あちらだと140字を連投しがちだからそれをこちらにすればよいだけなのだが

自分の中では別のものなので難しい


もう出すのやめようかとも思ったが、新シネパラをようやく現地で観られたことについては書き残しておきたいのでそれを中心に──



ちょうど1年前、心の準備なしにまる2年ぶりに旧シネパラをみたのが昨年の名古屋フェス。

身にあまる贅沢をしたからかそれ以来アイスショーの現地に何回か足を運んでも見事にタイミングがずれてシネパラにはとんと出会えなかった。

その新シネパラが進化していくのをみて、ついにロステレですべてのエレメンツを揃えたものを配信でみたとき、欲深い自分が感じたことは、現地でみたかったという気持ちより先に、ミーシャみてくれただろうか、という事だった。

JO後のコメントだったか。試合になるとジャンプに意識が偏ってしまう(それでリモート反省会になる)という話。わたしは新しいシネパラになる前から、1年前の名フェス旧シネパラの時点で、以前の競技シネパラとは違う感動を覚えていた。それはおそらく彼の積み重ねてきたもの。ここから先は以前記したDOIの感想をなぞることになってしまうので自重する



さて、GPロステレでショート1位となるパーフェクトシネパラが見られたことで、全日本に欲というか邪念がでてきた同志の方はいらっしゃいませんか

わたしはそうでした。(キッパリ

…というか、トップを意識し始めてからというもの、全日本ショートで気負いというかなかなか力が出しきれず結果出遅れるという事が続いていたのが、あのロステレシネパラ(とララランド)をみたことで、もう大丈夫なんじゃないか、こつこつ積み上げてきた力の、あとひとつの鍵であるピーキング力がここにきてついに「ととのった」のではないかと。


年々激しくなる国内の争いのなかで、いつも外野も外野のただの底辺ファンである自分が生きた心地しないほど緊張して、スケート見たくないみたいな支離滅裂の心理状況にすらなっていたのに、ただ信じて見せてくれるものを待てばいいんだ、プログラムを楽しめばいいんだ、という気持ちになった。

いちばん緊張する全日本になる予定が、肝が座ったようになったという。

おそらく本人の、「どんな結果でも後悔しない準備ができている」という言葉にも後押しされたというか。



それで迎えた24(駆け込み入場)

男子ショート、いきなりジュニアの三浦君がえげつない点を叩き出し大漬物石になったあと、ようやく現地観戦叶った選手、1年半ぶりに見られるのが集大成となる選手、一人ひとりを見守るうちに時間は経ち、トップ争いが絡んでくる後半Gになるとさすがみんなここぞとハイレベルな演技をし、高スコアを上げてくる

いやでも緊張は高まるのだが、実は意外となるがままにという気持ちになっていた。


最終G5が入場し、挨拶からの6分間練習に入ってから、不意に、組分けや滑走順の印象もあってか3年前ラクタブでのシネパラを思い出してしまった。あるまじき不覚。

だけどあのときとまるで違って感じたのは、シチリアの水面のような淡いブルーをまとった身体つきの変化はもとより直前練習の動き方。当時はがむしゃらに跳んでいた印象が強く、勢いを本番に保つといった感じがあった。いつだったか随分昔の記事で、直前練習で出来ないとそれが本番でも出来ないと思って不安になるといったことを話していた(細かい言い回しは忘れてしまったすみません)

今回は違って、周回しながら直前の氷の状態を感じとり、軌道確認、ジャンプは確実にひとつ確認、というふうに。

配信や現地レポからしか見てとれなかったものの今季に入って少なくともGPあたりからこの形なのかなという印象はある。(JOは何度もはまらないジャンプを試していたがその頃は練習時間?環境?が厳しかったという話を後から知るのだけど)


この全日本、わからないけど、わからないけれど、けっして超万全で当日を迎えてきたわけではなさそうだなという勝手に感じる気配はあった。おそらく、これまででいちばん大切な全日本。だけど、せっかくここまで来たのにという気持ちを押しのけたのは、実際のところ本人のパフォーマンスだった。


後半Gの好演技が続いていただけに、先に述べたように、状態絶好調じゃなくても神が降りてロステレを超えちゃうんじゃないのみたいな夢をかすかに残しながら、今季幾度となく目にした、やや上がりすぎた4Tにつけたセカンドのダブルジャンプをみた。

続く4Sに入る一瞬の緊張感で正直JOでよぎったたまありサルコウくんへの不安が脳をかすめたが、着氷に乱れがありながらもなぜか感じたことのない、「でも大丈夫」という気持ち。できれば少しのミスも許容したくない場面だったのかも知れないけれど、謎の信頼感がわいてきてそこから中盤以降、アクセル含めて不思議なほど落ち着いてみることができた。

旧シネパラ当時はジャンプに乱れがあるとどうしても(みてる私個人は)切ない胸の痛みのように、懸命に、しかしどこか悔しさからくる空虚ささえ感じていたStSqが、今季は前半の出来に関わらず常に安定して滑らか。それは新作になって初めて現地で目にする全日本であっても変わらなかった。

3年前の、重い気合い(期待)からの夢やぶれた胸の痛みのようなステップの記憶が一気に昇華していくのを感じた。


ショートプログラムの結果は7

あのときと同じ順位

ハイレベルさ、熾烈さでいえば今回のほうが厳しさを増していたはず

だけど3年前とは何もかもが違う、不思議な、

「よし、ここから」

という競技に関しては腹が据わったそういう気持ちになり、プログラムについての気持ちは安直な例えだが当該映画をみた後のような

届くもの届かないものままならなさただそこに形を変えながらも確かにあるかけがえない自分の大切なもの

そして、成長するということ


を、感じ

不思議なほど落ち着いた気持ちで翌々日のフリーを迎えようという気持ちになっていた。

なにがどうあっても、穏やかな気持ちですべてをしっかり目に焼き付けてこようという思いになれたのはおそらく友野一希というアスリートを応援するようになって初めての感情でした。


まさか翌々日、たまありが天井まで揺れるような景色を見せてくれるとは予想もしていなかったけれど───



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追記後日発刊された雑誌のインタビューで、この全日本ショート直前に股関節を傷めていたことを知りました。

また、毎年全日本はまさに命削ってる(本人談)、終わったら満身創痍で体調崩して年末年始ということも。

素直で時に無邪気でみたまんまの持ち味をいつもみせてくれているけれど、思い至らないほどの困難を重ねての姿なのだなと。それでも本人がただ見せようとしてくれるものを真っ直ぐ、大切に、尊重したいとあらためて感じさせられました。